若葉マークがきものを着ようとすると大ごとになる。いろいろハードルが高くて多い。
襟まわりなんて最難関だ。襦袢こそが着姿の肝だと着付けの先生から耳にタコができるほど教わったのに、衣紋が抜けない、襟合わせが左右合わない。やり直す、やっぱりうまくいかない。大汗をかく。やり直すほど混乱して「もう今日はきものやめる(泣きべそ)!」。
nonoの「Ready」(前あきのTシャツ襦袢)を着てみたら、あまりにあっけなくて拍子抜けしてしまった。え、これで終わり?
羽織って、ボタンを留めて、背中側の裾をキュッと引っ張ってきものを重ねる。衣紋は…抜けてる。襟合わせは…合ってる。キツネにつままれたようだ。
nono襦袢TシャツReady.
衿芯無しで綺麗な衣紋が抜ける半袖タイプの半襦袢。もちろんそのままお洗濯もOK.
ある程度好みの着方ができるようになると、白一色で襟の形が決まったReadyでは物足りなくなった。だんだん手に取る回数は減っていったけれど、挫折しないで何とかひとりできものを着られるようになったのは、駆け出しのころにこれがあったから。それに最近、「出物」の宮古上布に出会ったときに、よし着てみよう!と思えたのは、後から発売された夏Ready(麻シャツ襦袢)のおかげだ。麻素材の快適さだけではない。胸紐が一本ないだけでこんなに楽で涼しいとは!躊躇していた夏きものへのチャレンジが、新しい世界をひらいてくれた。
昨年、Readyの七分袖ができると知ったとき、モニターのこっちで思わず声が出た。
「待ってました!」
他の色、特に黒が欲しかった。臙脂もうれしい。しかも七分袖だから、正絹のきものでも大丈夫だ。着る時間も劇的に短縮されるから、長(半)襦袢には手が伸びなくなった。揃いの色、素材のステテコができたからなおのこと。結果、こちらに似合うきものばかり着ることになったのは困りものだが。
出先できものを褒めてもらうたびに、「この襦袢、Tシャツなんです。しかも前あき」と自慢している。あるところでは「革命ですね!」と言われた。
そう、Readyは「きもの事はじめ」の革命だ。
nonoの襦袢TシャツReady、ステテコ商品一覧はこちらより
奈良女子大学文学部を卒業後、美術印刷会社の営業職、京都精華大学 文字文明研究所および京都国際マンガミュージアム勤務を経て、2015年に独立。岩澤企画編集事務所を設立する。
ライター業の傍ら、メディアにおける「悉皆屋さん」として様々な分野で活躍中。
30歳のときに古着屋で出会った一枚のスカートをきっかけにモード系ファッションの虜となり、40代から着物を日常に取り入れるようになる。現在、病院受診と整体治療のある日以外はほぼ毎日、きもので出勤している。
岩澤さんブログ「みみひげしっぽ通信」
http://iwasawa-aki.jugem.jp/